ともすがら'25(2025)
- bunkeiedison

- 2 日前
- 読了時間: 8分

※音源は今後CD化にあたって音量の再調整等を行い、差替えする可能性があります。
◆万博、オアシス、ともすがら
年に一度、自分で作った曲の中から4曲録音してCDの形で残す習慣を始めてから、今回が7作目になる。去年のライナーノーツでは「次回は夏に作れたら…」とか書いとったが、結局今年も年末の完成になってしまった。しかも間に合ったのがミラクルってくらい駆け込みの製作。生活の中で無理せず音楽をするのをポリシーとしてやっとるんやけど、今年は一年を通してバタバタしとったんやろな。今んなって思い返せば「あの時期なら今よりかは暇やったんちゃう?」てタイミングもありそうなんやが、そんなもんあの頃のおれは知らんもんな。現在のおれといえばこの年の瀬に、自宅の引っ越し作業の佳境中の佳境。何も無くなった旧居での最後の思い出に、この文章をせっせと打っとる。
ほんなら今年はせわしなくしとって音楽やる時間が作れてなかったんかというと、実はそういうことではないんよな。むしろ2025年は演奏したり歌ったりする機会に恵まれた一年やったと言える。5月は大学の軽音同期の披露宴の余興で一緒に演奏したし、9月は後輩の結婚パーティーでバンドをやったし、10月は例年通り弾き語りのイベントにも出たし。自分個人の音源づくりに着手するまでもなく、生活の身近に音楽演奏の場があった、ってのが正解な気がする。対照的に、レコードを聴くって方面での音楽の楽しみ方は、いつもより少なめやったかな。阪神百貨店のレコード市には結局夏も冬も行けんかった。でも生で音楽を聴くって機会で言うたら、今年もコリー・ウォンは観れたで。あのライブは良かった。
さて、去年を含めたここ1,2年で人と音楽を演奏するチャンスが飛躍的に増えたことは、一人でほそぼそと続けてきたこの音源づくりっていうライフワークにも影響を与えたんです。わりと今年の初期段階から、「今回は人の手も借りてバンドで録音してみるのがええかもしれんな」、なんて考えとったんよ。友達の結婚とかお祝いの縁で組んだバンドのつながりを、せっかくやし晴れの日のその場っきりじゃなく日常の中で続けるのも良いんじゃないかな、って。そのほうが、楽しかったお祝いごとの思い出がシームレスにふだんの生活に溶けこんでって、より後々に残るじゃんかと思った。そんで何より、バンド形態でスタジオで練習したり人前で演奏するって体験をここ何年もできてなかったのが最近になって急に味わえたもんやから、その楽しさをおれの暮らしの中にもうちょっととどめさせておきたかったんや。バンドするのって、理屈抜きに楽しいんよ。
てなわけで、去年結婚した軽音の後輩の結婚式で組んだバンドのメンバーと、今年披露宴で一緒に歌った同期に声をかけて、自分で作った曲をみんなで何とかバンド音源の形にするべく、冬にスタジオに入った。
スタジオに集まったのは練習のために1回、録音本番のために1回。スケジュールの合うメンバーだけでの実施とは言え、みんな多忙な中で来てくれてありがたかった。バンド録音といっても本格的なレコーディングなんておれは訳わかんないので、中古で買ったZOOM製のマルチトラックレコーダーに、スタジオの備品のマイクや手持ちのスプリッターやDIを駆使して各パートの音を一発録りでぶち込むだけ。手が足りなくてワンテイク中に同時に弾けないソロパートとかはやむを得ないので、家に帰ってからGarageBandで付け足した。
録音したい4曲のイメージとかコード譜とか構成とか、おれひとりで録ったスカスカのデモ音源は1年を通して曲が出来るたびに事前に共有しとったものの、実際にバンドで音合わせしたのは先に書いたとおりたったの2回だけ。それにもかかわらず完成品は一人で録った場合より格段にカッコよく仕上がったのが嬉しかった。自分の曲をバンドでやるのは、大学時代に「ともすがら」って名前でちょろっとやった以来初めて、実に10年ぶりのことやったけど、やっぱりおれの頭の中だけで鳴っとったものが人の知恵や助けを借りて実際の音として聴こえてくるようになるのには感動する。音楽の理論や知識をあんま持ち合わせてないからみんなには抽象的な注文しか言えんかったけど、えらいもんで各々がそれをだいぶ汲んで、持ち前の技量で演奏してくれたってのも大きかった。
とにかくこれが、ひさしぶりの自作曲バンドともすがら、2025年の音源です。10年前に一緒にやってくれた子らは今回参加しとらんけど彼ら含めて、また機会があったら関西住みの友達を集めて録音出来ればなぁ、と思う。毎年の4曲全てじゃなくてもそのうちいくつかをバンドで録る、とかでもええしな。大阪万博やオアシスの再結成の陰で、今年はこんな音源がひっそりと出来上がりました。
ジャケットの絵は今年使いはじめた流行りのAIにイラストの原案だけ提示して、描いてもらった。これも初の試みやったけど、AIにイラストの微調整の指示を繰り返すのが面倒で面倒で。バンドやったらこっちのオファーが曖昧でも意図を汲んでやってくれるのに…。やっぱりおれは、芸術的なことに関しちゃ人工知能よりも人の心のほうが頼りやすいなぁ。
(バンド録音:2025年12月14日)
1. ふとんに五円
10年前、学園祭でオリジナル曲のバンドをやることになったときに作った曲。当時のともすがらはメンバーが集まらず、おれのギターと後輩のドラムだけ、そこから見かねたまた別の後輩の子がピアノを弾いてくれるという構成やった。その頃のこの曲はもっとシンプルなロックンロールみたいなテイストやったけど、今回はちょっと趣向を変えてサザンロックというか、リトル・フィートの「ディキシー・チキン」風の感じに作りかえて録音。こんなアレンジ、やりたくても一人じゃ絶対出来へんからね。しかしみんなの手を借りても、あの南部のノリを狙うのはわりと難しかった。あこがれはなかなか簡単には手が届かんもんやなぁ。一発録りのテイクに家でハーモニカ、ギターソロ、マラカス、タンバリンを足したが、どういうふうに仕上げようかいろいろ考えるのも楽しかった。やりたいけど出来ないアイデアを具体的な形にできたって意味では、この曲が特にやった甲斐があったかも。
2. しょーもない家電
これも10年以上前、人前で弾き語りをするにあたって作った曲。作った当時に何回か歌ってからは、毎年の音源作りの候補曲にも選ばれんままやった。それが今回満を持して、バンド録音にはおだやかな曲も入れたいなぁと思って採用。採用しときながらバンドアレンジの具体的なお手本になるような曲が思いつかんかったので、メンバーにはほぼ丸投げで各パートを演奏してもらった。曲のスタートはおれだけの弾き語りで、あとはおのおの好きなタイミングで入ってきてね~っていう、ゆるい曲。その感じが歌の雰囲気にもめっちゃ合っとる気がして、大満足。こいつは何も音を後乗せすることなく、一発録りの音源そのままで採用。そうそうおれ、ジャズっぽい感じを出したいから録音日までにドラムのブラシ買っとくから使ってみて!とか言っとったくせに、肝心の買ったブラシを引っ越し作業の間に見失ってしまうという大失態を犯した。まだ家の中で見つかりません。けどさすが、スティックで叩いてくれたドラムもええ感じなんよな。
3. 張り子の虎
今年作った曲。どうせバンドで録音するんなら今まで出来んかったアプローチを、ということで、大好きなB.B.キングの晩年のライブ演奏の編成をイメージして作り、みんなに演奏してもらった。なのでこれは4曲の中でいちばんしっかりした具体的なお手本があった作品で、バンドメンバー的には助かったかもしれんね。けどそのことを差し引いたってこの曲は特にええ感じにカッコよく仕上がって、こんなにもハマるかぁ、と録ったそばから感心した。オルガンもベースもドラムも素晴らしい。ブルースバンドらしいことが真正面から出来たのも嬉しかったなぁ、それも自分らしい形で。何かさ、有名なブルースナンバーを歌詞もサウンドもファッションも忠実にコピーするより、こういう風に自分の生活のブルージーな一面を肩ひじ張らない形で歌にするほうが、ブルースマンできてると思うんよな。一発録りの音源に、自分なりのB.B.気取りのギターを冒頭に付け加えて完成。
4. レトリバー
直近で作った曲で、具体的には9月の上旬、後輩の結婚パーティーに参加した翌朝に思いついたもの。タイトルのとおりYouTubeのショート動画でよく流れてくる大型犬の動画からテーマをとって歌詞を書いたんやけど、その中身は実は、今年の自分自身の生活や思ったことになぞらえてたりもする。騒がしいロックンロールにしようと思いっきり声を張り上げたんやけど、数テイクやっただけで声が飛びかけてしまった。まぁ、ひどい声もええやんええやん、必死さが伝わって。太古の昔、ビートルズのファーストアルバムの時代から、ロックンロールアルバムのラストは馬鹿みたいにわめくナンバーで終わるのが様式美なのだ。一発録りの他には間奏のハーモニカとコーラス、タンバリンを付け足しとる。わめくように歌っとるから埋もれとるかもしれんけどこの歌詞、けっこう上手いこと書けたと思ってるよ。
(編集・完成:2025年12月27日〜28日)







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