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四光年 (2024)

  • 執筆者の写真: bunkeiedison
    bunkeiedison
  • 2024年12月20日
  • 読了時間: 6分

更新日:2024年12月21日


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◆(人工衛星の)打ち上げあんの?ええやんええやん!



 年に1度、自分で作った曲の中から4曲録音してCDの形で残す習慣を始めてから、今回で6作目になる。今年も幸い音源づくり以外の趣味にも恵まれて1年通して気ままに好きなように過ごしとったので、気づけば去年に引き続きCDの完成が年末になってしまった。なのでやや製作は慌ただしかったかな。もっとも、この時期に曲を作ると自然とこの1年におれが経験したことや感じたことの振り返りがうまいこと4曲に反映される気がして、単なるデモテープというより文字通り「思い出のアルバム」って仕上がりになるから、悪いことばかりではないけどね。

 録音シーズンを除けば、去年とは音源を取り巻く事情はわりと大きく違う。前作は3つの古い曲と1曲の新曲って構成やったけど、今回は曲もすべて今年に(というか「ライトイヤー」以外は11月に入ってからやっと)作ったという極めてフレッシュなもの。そういう意味でもおれの過ごした2024年の生活の色がしっかり残せたんかもなぁ。録音方法の面でも不慣れなMIDIキーボードを多用した去年とは対照的に、アコギと歌をいっぺんに1トラックに録るって原始的な手法をメインに、そこに重ねる音もほぼもう1トラックだけという、60年代でも時代遅れなアプローチを採った。そうそう、だもんでボーカルの音量だけをあとから調整したりとか一切できんかったので、あまり性能の良すぎる環境でこの音源を聴くのは粗さが目立つしおすすめできません。おれ自身録音期間中は毎朝の通勤時に車のスピーカーで昨夜に録った音源を下品に垂れ流すだけの、ほんまにアバウトな音質チェックしかしとらんかったからね。生活習慣に録音スタイルを合わせに行った結果としてラフな音色になってるのも、将来の自分が振り返れば面白がるかもなぁ。

 そういう性急なスケジュールと豪快なレコーディングで作った割に、この作品はコンセプトの面だけでは過去の5枚に比べてしっかりしとる。まず、題材として4曲共通で歌詞やモチーフに星や宇宙とかの天体を用いたこと。これは今年の初めに作った「ライトイヤー」が自分でもええ出来やと思ってたから、年の暮れが近づいていざ音源を作る段になったときに、どうせならまだ用意してない他の3曲もあるていど同じ流れを汲んだらキレイに聴こえるかなぁ、って考えたのがきっかけ。そんで、「ライトイヤー」が赤ん坊に向けて作った歌やったから、どうせなら残りの3曲もそれぞれ別々の世代をテーマにして作ろうかな、と思いついたのも、今振り返るとナイスなコンセプトやった。「小学生」はもちろん、「ギターヒーロー」は大学時代、「夜明け前」はまさに今年の32歳のおれの思い出。4曲の収録順も、世代の幼い順に並べとるってわけ。

 つまりこのCD音源は、見せかけはおれんちの狭い作業部屋でちまちまと夜ごとにギター片手に録音した単なる四畳半以下フォークっぽいけど、その実は宇宙や星を4種類の世代や視点で見つめて描き出すという、時空間豊かな4次元スペクタクル的SF(大なォーク)作品なのだ。どうだ、まいったか。ジャケットはそんなコンセプトを端的に表現したもの。

 とにもかくにも年内に間に合って良かったよ。来年はどんなもんが出来るかな。たまには夏に音源作るのもええかもなぁ。この録音、冬の深夜にいそいそと吹き込んどるから、聴き返すと寒そうやし、眠そうなんよ。

(2024.12.20)



1. ライトイヤー

 12月録音。元々は今年の2月、福井でバーやっとる友達が2軒めの店を作ったってことで、店の名前を入れた手作りギターをプレゼントしがてら飲みに行った、そのときに泊めてもらった空き部屋で書いた曲。お店の名前をテーマの発端にして、子どもが産まれて間もなかった友達とその夜に話したことや、昨年末に実の甥っ子と初対面したときのことを織り交ぜて歌詞を書いていった。いっぱい飲んだ翌朝やったけど、するする自然と出来あがった。作ったその日の夜もまためちゃ飲んで、明け方になって友達に曲出来たよって聴かせた覚えがある。どんな子でも、どんなことでもええから好きなことを見つけれたらええね、っていう歌。今回のCDタイトルも、もちろんこの曲名から。


2. 小学生

 12月録音。星をお題にした曲をいざ作ろうとなったときに、今年の8月に伊丹のこども科学館にあるプラネタリウムを見に行ったことをまず思い出して、そういや小学校のころ地元の市民センターにもプラネタリウムあったよなぁ、とさらに記憶が引き出されて書いた曲。こだわりポイントは、自分の小学生時代を思い出して歌詞を書くというよりも、あくまで小学生やったころの視点で小学生のころの生活や考えを表現しようって意識したこと。おれは曲を作るときに今の自分の主観から出ずに歌詞を書くことが多いから、もっとみんなのうたみたいに、「山口さんちのツトムくん」みたいに、子どもの歌なら子どもの目線で歌詞を作ってみるのもたまにはええかと思って。いろんな視点に立って歌をうたうのも、フォークシンガーのだいじな資質な気がする。あと冒頭の「パフ」はマイクテスト中に遊びで弾いたんやけど、何となく利用した。


3. ギターヒーロー

 12月録音。今年の9月に大学時代の軽音部の後輩が結婚式を挙げて、そこでのスピーチを頼まれた。めちゃめちゃ緊張したので1日じゅういっぱい酒飲んだけどはっきり覚えとる、あれはええ式やった。そのスピーチでしゃべったことを下敷きにして曲の形で残せば今年の思い出を音源で残せるかな、と思って書いた曲。あの日限りのスピーチのままやったら時間が経てばきっと忘れちゃうもん、あんなに緊張したのにそれはもったいないじゃん。歌詞は思い出そのまんまやったりそこから膨らませたりしつつ書いたけど、おれらの大学時代といえばだいたいこんな感じやった。あと、あの結婚式の日はめちゃ久しぶりにバンドとして人前に立てたのも楽しかったよ。新郎新婦をお祝いできて嬉しかった。長い歌詞を落とし込むためにディランの「時代は変る」みたいに6行詩っぽい構成にして、そんで曲調は10月にライブを観た工藤祐次郎風を意図的に狙った。あのライブ面白かったよ、会場が銭湯のお風呂場やった。


4. 夜明け前

 12月録音。11月に鳥取へ2泊3日の旅行に行って、そのときの出来事を帰ってきてからすぐに曲として書いたもの。思いついたときから太陽や星のことは歌詞に入っとったし、視点も題材も現在のおれのありのままの暮らしなので、曲作りにあたってあんまり作為的なことは含まれてない。メロディーもどこまでもシンプルにしたくって、理想としては夜寝るときの子守り唄に出来るような歌を目指した。うまいこと行った気がするよ。今作は4曲とも弾き語りのメイントラックに間奏やイントロに挟むようのサブトラックを重ねただけの作りになっとるけど、この曲ではサブの楽器にオンボロのウクレレを使った。CD製作にこいつを使ったのはだいぶ久しぶりな気がする。深夜作業の眠さでギターも声も頼んないとこがあったりするんやけど、それはそれで子守り唄っぽくてそのまま採用した。単純なんやけど、やからこそ将来のおれも何となく口ずさんでそうな気がするよ、この曲。





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