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ギターをエレアコ化した話

執筆者の写真: bunkeiedison
bunkeiedison
2020年3月23日
読了時間: 10分

更新日:2021年12月27日


写真が重たいかもしれない

3連休はほとんど家にいた。

途中、夜中に山のふもとのコンビニまで散歩したくらい。


家でCDを焼いたりレコード聴いたり、自転車のタイヤのチューブ交換したり。

少々の自宅待機じゃおれの趣味には足りない足りない。


なかでも目玉やったのが、やっぱりギターいじりやね。

その模様をメモがわりに載せておく。



。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。



1週間ちょっと前、非常に残念ながらディランの来日公演が延期になった。

おれはたとえディラン本人が感染してたって観に行くつもりやってんけどなぁ。


チケットの払い戻しもあったんで、急に財布に入ったけっこうなお金。

一度音楽に使うと決めた金、どんな形であれ音楽に使わな気が済まん。


ということで払い戻ししたそのままの足で、かねてから目星をつけてたリサイクルショップに直行した。



S・ヤイリのこぶりなギター。

なんと8,000円もしなかった。


すでに持ってるアコギは2本あって、1本はかなり古いヤマキのフォークギター、もう1本は去年買ったエピフォンのアーチトップ。


昔はヤマキにピックアップを後付けしてよくライブをしてたけど、外に持ち出すにはもうご年配やし、何より生音がすごく良いので完全に屋内のレコーディング用にすることにして、外でのライブ用にデフォルトでピックアップを内蔵してるエピフォンを買った形。


ただこのエピフォン、かなりサイズがでかい。

そのぶん迫力があるし、アンプに繋いだときの音もしっかりしてるんやけど、何しろアコギ最大級モデルのギブソンJ−200とほぼ同じサイズ。


そうなってくると、気軽に持ち運べたり、指弾きの練習相手にしたりできるような、ミニサイズのアコギも対照的にほしくなった。


それで、最近リサイクルショップめぐりをしてこいつを見つけたってわけ。

ノーマルサイズのアコギに挟まれ窮屈そうに吊るされてるのを発見した。


店頭で手に取った瞬間に破格で売られとる理由がわかった。

このギター、全体像としてはかなりキレイやのに、ヘッドだけが見たことないくらい曇ってる。



ネットで調べるときは「ギター 塗装 白濁」てな感じで検索かけると、似たような症状が見つかる。

おれの個人的な印象ではヤマハの古いギターに多い症状。


ギターの塗装と水分が経年劣化の結果反応を起こしてこんなことになるらしいが、詳しい原理は文系のおれにはよくわからない。


これには実は修理方法があるみたいで、ネットの経験者たちは濡らしたタオルの上からアイロンを当てて改善した、とかいう体験談をよく紹介しておられる。


試してやってもええんやが、何となくこのまま使うのもええかな、と思ってる。

「頭だけボンヤリ曇ってる」のが現代人への風刺のように感じられたから、かもね。



さて、白濁はそのまま残すとして、このギターに施したい改造は別のところにあった。

完全にアコギ状態のこいつを、アンプに繋げられるエレアコに変えること。



アコギをエレアコにするには、弦の鳴る音を拾うピックアップっていうマイクをつける必要がある。


おれの持ってるエピフォンにはピエゾピックアップていうのが初めからついてて、ブリッジっていうギターの弦を留めてる場所のそのまたサドルて呼ばれる部分の下にこのマイクが仕込まれとるわけ。


今はおうちギター専門と化したヤマキも、ライブで使ってた頃はピックアップを後付けしてたんやけど、そのときはギターのサウンドホールにくっつけて使うマグネットタイプのピックアップを使ってた。

このタイプはエレキギターのピックアップと同じ原理やね。



今回ヤイリにつけるピックアップは、どっちかというとピエゾタイプのピックアップにあたる。

FISHMANのPRESYS BLENDとかいうやつ、らしい。


「どっちかというとピエゾ」ていうのは、実はこの機種、ブリッジから弦の振動を拾うピエゾピックアップだけじゃなく、コントロール部分の裏に小さな小さなコンデンサマイクも内蔵しておる。

要するにアコギの生音を文字通りのマイクで拾った音もブレンドできるってわけやね。


この、ピックアップとマイク直録りの音をブレンドするっていう手法は、実はエレアコの音作りにこだわる人らのステージではよく取られるアプローチでもある。

ライブ動画とか見てたら、アコギにシールドが繋がってるくせにギターの前にマイク立ててる人、たまにおるでしょう。

マイクでしっかり音を拾いきろうとするとどうしても大音量ではハウリングを起こしちゃうからピックアップは必要不可欠なんやけど、ピエゾピックアップだけではどうしてもエレアコの「エレ」の部分が強くなっちゃうから、生音も適度に拾って混ぜ合わせることで自然な聞こえかたに近づけとるんやね。

それを1台に組み込んだのがこのPRESYS BLENDってこと。


ただし、「FISHMANのPRESYS BLENDとかいうやつ、らしい」とさっき書いたように、おれはこのピックアップをかれこれ半年ほど前、とある場所でアホ格安で叩き売られてるのを買ってギター部品棚に放り込んでた。

FISHMANはエレアコ用品ではけっこうな大手メーカー。

…まぁ、FISHMANて書いてあるし、「らしい」で上等やないか、このヤイリには。

アホ安にはアホ安を、がモットーや。



このピックアップは大きく分けて、音を拾う「ピエゾピックアップ部分」、シールドを繋げる「エンドピンジャック部分」、そんで電池を入れて動かす本体に当たる「コントロール部分」で構成されとる。

それぞれがギターにピッタリおさまるように、ギター側をわりとハデに加工せなあかん。


(ちなみに、ハデな加工をしたくないギターには、先ほどふれたマグネットタイプのピックアップを使うといい。もともとギターにポッカリ空いとるサウンドホールに取り付けるだけなんで。)


アコギをハデに加工するのは初めてだったんで、記念の意味でも工程を写真に撮った。



加工する部分の中でも、このコントロール部をギターにはめ込むために穴を空ける作業が一番ハデやな。


メーカーが用意しとる切り欠き用の台紙を印刷する。

インチ表記でもミリ表記でも端数があんのはどういう意図の設計なんやろうな。



台紙をギターの穴空けたい位置に貼り付けて、イメージを練る。

やっぱこぶりなギターだけあって、穴がデケェな…


イメージしてると、あるイヤな予感が湧いてきた。



アコギのボディーの中身って、文字通りに空っぽなんじゃなくて、強度を保つために実はけっこう複雑に骨組みの木材が行き交っとるんよね。

ブレーシングとかいうやつ。


その骨組みのなかでも、ボディーの側面に沿って貼ってあるやつ、正式には何て言うんやっけかな、とにかく線路の枕木みたいに走っとるのあるやん。


この部分がコントロール部用の穴空けに干渉する気がしてきた。

ふつうのサイズのギターやともっとボディーに厚さがあるから心配ないんやけど、なんせこのSヤイリ、わりと薄い。


もし切ってる途中にこの枕木が穴空けスペースと重なってることに気づいたら、この枕木ぶん余計に分厚く木を切らなあかんことになる。

今回カット作業は手作業でやろうと思っとるのに。


不安を残しつつカット作業開始。



手間ではあるが彫刻刀で少しずつ。



作業中のBGMにJガイルズバンド。

去年の暮れにレコード市で買ったやつ。

あの頃は人混みの梅田やって危険ではなかった。


そうこうしてるうちに穴空けもできそうかな、と思っとったが、

案の定明らかに途中から彫刻刀が重い。

手ノコも使いながら何とか無理くり四角く穴を開けきったけど…



…やっぱりな。

端の方に枕木の先っちょがくっついとる。

まぁ強引にでも正しく穴空けれたからOK。



最終的には完全に見えなくなる部分ではあるけど、ヤスリがけはちゃんとやった。

木片とかあとで剥がれてボディーん中でカラカラ言ってもストレスやからな。



無事におさまることを確認。



次はボディーのおしり部分に移る。


もともとギターのエンドピンが挿さってる穴のサイズでは、アンプとギターを繋ぐシールドを挿し込むには小さすぎる。

こいつを広げないかん。



ブチ込む予定のエンドピンジャックの太さよりやや細い径のドリルで拡張して…



テーパーリーマーっていう工具と、最後は鉛筆に巻きつけた紙やすりで微調整。

ガバガバすぎるとちょっとマズイからね。

この作業は実は過去にも2回ほど経験がある。

慣れたもんよ。



油断してたら最後のナット締め付け中に手ぇ滑らしてちょっとキズいった。

すまんな。

目立たんほど他のキズつくくらい使うから許してくれ。



最後はピエゾピックアップの入る、サドル下に関する加工。


サドルは無加工のままやと、その下にくぐるように取り付けられるピックアップの厚さぶんだけ、取り付け後に背が高くなってしまう。


別にそれでも音は鳴るんやけど、サドルが高くなるとギターに張る弦の高さも高くなっちゃうんで、そのぶん弦を押さえる指に力が要ることになる。

1mmや2mmの話ではあるが、ただでさえアコギはエレキよりも太い弦を使うんで、長期的にみるとこの差はまあまあシンドイ。



部品棚に転がっとる他のサドルをひっぱり出してきたけど、背の低いやつは無いや。


先人たちの取り付け動画を見とると、サドルのはめ込まれてる溝側を細いドリルやらルーターやらで削っとるのもちらほら。


ただそれはなぁ…溝の底が見えない状態で、均等に削るのはイメージするだけでも難しい。

ここがデコボコになっちゃうと、弦の振動がボディー側にキレイに伝わらなくなっちゃいそうなのは、何となく文系のおれでも想像がつく。


それならば、削るべきなのは溝側じゃあない。



サドル側をヤスリがけで2mm弱ほど削った。

こっちであれば机の上で、手作業でじっくり確認しながら削り具合を調節できる。

ボディー側を削っちゃうと、取り返しつかんからね。

サドルは在庫もあることやし保険がきく。



だからと言って溝側にまったく加工が要らないわけではない。

ピエゾピックアップをボディー内部から溝に這わせるために、溝の一番端に通り道になる穴を空ける必要はある。

まぁでもこれはドリル一発なんで気楽なもんよ。



内から外へこのフニャフニャなピックアップをサウンドホールに突っ込んだ手だけで通すのは至難の業。


おれの場合は今回の加工のために切った古い弦を使って引っぱり出した。

なぜかここらへんの工夫は軽く調べた程度じゃネットに見つからんかったな。

みんなどうやってるんや?



ギターの内部で這ってる配線はそのままにしておくと中で動いてウルサイんで、固定しておくと良い。

両面テープ式のこういうフックがあると非常に捗る。

こいつをボディーの内側に貼っつけて配線を留める。

たまにこのフック自体が剥がれて配線が再び暴れ出すのは、あるあるネタやね。

ストレスは溜まるが、そういうときは次の弦交換まで我慢する他ない。



配線も整理できたら、コントロール部分を本固定する。



シャーナイことやが、微妙にコントロール部分の両端がボディーから浮いてしまっとるのが横から見るとわかる。


本来これって、丸みのあるアコギの中でもできるだけまっすぐな面を目がけて取り付けるべきものなんよね。


ただこのギターはすこぶる小さいんで、普通のアコギであればあるはずの「まっすぐスペース」が十分に無いんよ。

苦肉の策で選んだ場所でも、けっきょくは100%フィットして付けることはできんかった。

まぁ、留めビスが悲鳴を上げてそのうち剥がれてくるようなことさえなければ、文句はない。



弦を張り直してチューニング。


この機種はコントロール部にチューナーも備わってるタイプ。

珍しくはないんやけど、個人的には手持ちのギターでは初めての経験。

そこまで精度は無いやろうが、便利は便利やね。



アンプに通してチェック。


良かった、ちゃんと一発で鳴った。

イコライザーもちゃんと機能してる。

ある程度効きが悪くても、おれの場合はアンプとエレアコの間にエレアコ用のプリアンプみたいな何かしらのお助けグッズを噛ませるから、どうとでもなるんやけどね。


コンデンサマイクのブレンドもちゃんとできてる。

でもあんまりマイク分を上げすぎるとボヤけてくるな。

まぁギターん中で鳴ってる音を拾っとるだけやからな、前からじゃなくて。

気持ち程度にちょっとだけブレンドするとイイ感じかもしれない。

思い切って上げるとボディーを叩く音も拾ってくれる。

これはピエゾだけではできない芸当やから、そういう弾き方をする人には嬉しい機能かもしれない。


やっぱりエレアコとしてアンプに通すとアホ安のアコギっていうハンデが薄くなるよな。

音作りの工夫次第でなんとかなるからかもなぁ、生音と違って。


これで当初の思惑通り、取り回しのしやすいこぶりサイズのエレアコが手持ちにできた。



っていう感じで、安いアコギを安くエレアコにした話。

暇な人には、半端な値段するエレアコを買うよりかはこちらをオススメします。

楽しいし。





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