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4曲入りEP「ドロー・フォー」ライナーノーツ

執筆者の写真: bunkeiedison
bunkeiedison
2020年3月20日
読了時間: 7分


配信版はこちら



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「ドロー・フォー」

リズムアンドブルース解放のトラ

2020.3.20


1. ニュータウン

2. 地球がまわるのがおれはこわい

3. 愛するきみに恩返しを

4. こわれたカナリア


2020.2月〜3月録音




いろんなものを失くして何もかも嫌になってから、かれこれ4つの季節が過ぎた。

世間に対して出せるカードが手持ちに無くなったおれが引いた4枚のカード。

この4曲はそのときの4枚や。

こたえることの多かった1年が過ぎて、やっとその気になってひり出した4曲。

手持ちのカードが尽きたような、どうしようもない奴こそ、ありがたくこのカード、4つ引け。



【解説】


本来は今日3月20日と22日に開催される予定だった音楽イベントに参加するにあたって、観てくれたお客さんに配れればと思って用意し始めたEP。

ただ、去年も1枚デモテープ的な音源を録って細々と配ってはいたし、おれが歌うのを聴いた友達がまた録ってほしいって言ってくれていたこともあって、どっちにしろ何かしら作ろうとは思っていた。

音源を録音するのが苦手なので、「音楽イベントで配る」っていう目的を立てないとなかなか腰が上がらなかった部分はある。


去年の音源「上喜撰」と性質的に違う点に、今回の「ドロー・フォー」ていうEPにはしっかりEP1枚としてまとまった意味合いを持たせたかった、ていうことがある。


去年CD音源を作った頃はちょうど自分がいろいろと塞ぎこんでいた時期で、楽器の数も一時的にちょっと減っていた。

それでもおれの作った歌をほめてくれる友達はいて、そんな人らに聴いてもらえるようお気に入りの曲を音源ていう形にしたり、友達の店に向けて書いた曲を録ったりした感じ。


今回はそんな去年の、ダラダラと過ごしつつも歌や楽器をまた作り始めた春夏秋冬を振り返って曲を選んで構成した感じになっている。

楽器も今持ってるギターをなるたけたくさん使った。


「ドロー・フォー」っていうタイトルやジャケットの絵もその「春夏秋冬」っていうイメージから思いついたもの。

4枚のカードの色、よく見たらそれぞれ四季っぽいでしょう。


もっと言うと、それぞれの曲も春夏秋冬に対応する順番に並べてる。

実は録音した順番は実際の曲順と真反対だったけど。

結局できあがって並びを考えてたら、この順番がいちばんしっくりきた。


CD実物は去年同様手作りで焼いてる。

人前で歌ったときのお土産や、友達に渡す用のもの。

代金は0円から。払ってくれる人がいたらお小遣いがわりにありがたくもらう。


ご時世もあってそれだけじゃうまく行き届かんようなので、ネット上にも置いてある。

わざわざ聴いてくれる物好きな人、煮るなり焼くなり好きにしてほしい。


「煮る」「焼く」っていうのは比喩表現でも何でもなく、そのままの意味で。

煮詰めてもっといいアレンジやミックスで勝手に発表してくれてもいい。

各々で焼いて勝手に音源バラまいてくれてもいい。

気に入ってくれたんなら、何してくれてもいい。

みんながみんな「自分の曲や」なんて言って、歌って広めてくれんかな。


ただ、音質は自分で焼いたCDのほうが良いと思う。

それに合わせて調整してるから。


次はいつ、どんな形でCDをつくるかわからない。

今年、このタイミングでこれができて良かった、楽しかったことだけが確か。



【曲目】


1. ニュータウン


2015年ごろ作ったもの。

大学最後の年に、軽音部で自分で作った曲でバンドをしたときに書いた。

ニュータウンは生まれてから去年までずっと住んでた実家のある町のこと。


歌詞と歌詞の間にもバカみたいなコーラスが常に挟まってるから、常に歌ってる構成になってる。


今回の録音では一番最後に録音した。

ギターは大学のころから使ってるテレキャスを弾いてる。

低音がけっこう出るから、ベースを付け足すことはしなかった。

ボーカルはある晴れた週末の朝、起き抜けにできるかぎり小声で録ったもの。

窓から見える空がとても青かった。


むかし自分で書いた歌詞が、時間が経つほどその内容が連想されるような境遇に近づくことが、不思議とよくある。

その典型みたいな曲。



いいことはなくてもどっちかというと悪くない日々よ
もうずっと ずっとずっと この町を照らせ
いい人じゃなくてもどっちかというと悪くないぼくに
サイコーのきみがいれば 人生は春だ


2. 地球がまわるのがおれはこわい


2019年に作り始めたもの。

歌詞は録音しながら仕上げた。

家にこもりがちだった去年の夏頃を思い出す。

その頃はこんな歌、暗くてやってられるか、とも思ってた。

そんな弱っちいところも、結局は歌にできたら救われる。


実家の目覚まし時計には実際、今も電池が入ってないと思う。

いや、そもそも時計ごと捨てたかもしれない。


今回の4曲はどれも使ってるコードの種類もメロディーの数も少ないシンプルなものばかりの中、この曲はかなり構成を凝った。

はじめは鳴ってた秒針の音が途中で止まって最後にはまた鳴り出したり、突然サーカスみたいな雰囲気になったり。

「寝すぎたときに見るへんな夢」みたいにしたかった。

バスドラの音は個人的にテンションが上がるのでなんとなくデカめにした。


「おれが見惚れたみなみの星に〜」っていう歌詞は、去年たくさん死んでしまった、おれのあこがれるアメリカ南部、ニューオーリンズのレジェンドたちのことを指したもの。

いい表現やと思う、お気に入り。



おれが見惚れたみなみの星に
手が届かないのは承知だが
見惚れつづけることも許さない
地球がまわるのがおれはこわい


3. 愛するきみに恩返しを


思いついたのはずいぶんと大昔な気がする。

2010年とか11年とか。

ギターのコードを6本の弦を押さえて弾くこともできなかったくらいの時期。

だから、コードも3つしかないし、タイトルも青っちい。


それから少しずつ下手くそな歌詞を差し替えてって、去年になってやっと人前で歌った。

はじめは「きみは元気でやってるか/ぼくはなんとかやってるよ」みたいな目も当てられないレベルだった。

そんな感じの曲もこの1枚に入れられて良かった。


そんな背景もあるんで、この曲は本当に何の凝ったアレンジもしなかった。

唯一、歌とギター別録り無しの1トラック、1テイクで録ったもの。

場所は閉め切った家の風呂場。


いちばん歌詞が変わったのは最後の一節。

10代で作った頃は、「彼」なんて存在はいなくてどっちも「ぼく」だった。

そこが変わっただけで一気に秋めいた雰囲気になったと思ってる。



大好きだけど何も言えず 大好きだけど目も合わせず
大好きだけど手もつなげぬ あの日のぼくをゆるしてくれ
大好きだからぜんぶ言える 大好きだから目も合わせる
きみに会うため何でもする 今夜の彼を祝ってやれ


4. こわれたカナリア


2019年に作り始めたもの。

これは歌詞の中身が去年初頭の冬の思い出そのものなんで、このCDを作ろうと決めたとき、まず始めに録音に取りかかった。


去年塞ぎこむようになったきっかけになったのが、インフルにかかったり声が出なくなったりっていう体調不良だった。

どうしても歌詞考えはじめの頃はもっとしっかりしんどかったことを書いてしまってた気がするけど、長くなったしつまらなかったので下の一節にまとめた。

音楽を聴いてるときはどんなに塞いでても無敵になれたのは良いが、それが声にもならんかったらマズいやんけっていう感じ。


ギターとベースとドラムが揃って鳴ってる、唯一のバンドっぽい曲でもある。

思いっきりパンクロックにしてやりたかった。

ギターは確かぜんぶ自作のエレキギターを使ってると思う。

冒頭はテレキャスか。


曲調はパンクロックでも、実は去年ターンテーブルに載せて実際に聴いてたR&Bから影響されてる部分が多い。

WHERE DID OUR LOVE GO?!っていう合いの手なんかモロにそう。

他にも耳をすませばPlease Mr. Postmanやら、Twisting' the Night Awayなんかも聞こえると思う。


こわれきったカナリアほど敵無しなものはない、ていう感じのテーマ。



ターンテーブルの前では 神様にでもなれるのに
それが歌にならなけりゃ ぼくは人間ですらない



(2020.3.20)




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